「ベトナムの少数民族言語政策と言語使用の実態」(東南アジア学会研究集会)開催のお知らせ
ベトナムの少数民族語政策と言語使用の実態(東南アジア学会研究集会)
日時:2024年11月10日(日)12:00開始 (11:30開場)
場所:京都大学百万遍キャンパス(吉田本町) 総合研究2号館4階(東側) AA447会議室
※構内地図の34番目建物(総合研究2号館)です。百万遍交差点から近い建物です。
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/yoshida/map6r-y
使用言語:日本語(グエン・レさんの報告のみ英語)
趣旨:多民族国家であるベトナムでは、2013年憲法で初めてベトナム語を国家語として位置づけた。一方少数民族側は、グローバル化の影響で若者世代にはベトナム語しか話せなくなっている者が増えている。しかし地方ごとに民族語の維持を目指した様々な取り組みも見られる。例えば南部では、チャムやクメールのなかに、日々の宗教実践などを通じて民族語を変わらず維持している人々もいる。本研究集会では、最近の民族語政策を検討したのち、代表的な少数民族を取り上げて、地域ごとの事情などで民族語の運命が様々に変容している状況を報告したい。
スケジュール:
12:00~12:05 趣旨説明
12:05~12:15 最近のベトナム国家の民族語政策について 伊藤
12:15~12:40 発表者1(5分の質疑応答を含む)伊藤 タイー・ヌン
12:40~13:05 発表者2(〃)大泉 ムオン
13:05~13:30 発表者3(〃)グエン・ティ・レ モン
13:30~13:40 休憩
13:40~14:05 発表者4(〃)中村 チャム・ムスリム
14:05~14:30 発表者5(〃)吉本 チャム・南西部
14:30~14:55 発表者6(〃)下條 クメール
14:55~15:20 発表者7(〃)伊藤 華人
15:20~15:30 休憩
15:30~15:50 コメント 小島敬裕(津田塾大学、ズーム参加)
15:50~16:05 発表者応答
16:05~16:35 フロアを含め討論
報告要旨:
伊藤正子(タイーとヌン)京都大学
多数派キンとの関係が歴史的に強力なタイーはベトナム最多の少数民族だが、ここ20年の間に急速に民族語を失った。一方移住後の歴史がより浅いヌンだけの集住地では、民族語に対する意識が高い。この背景は歴史的に形成された両者の社会的地位の違いがあることを指摘する。また民族語政策の主体が、国家から地元省に移っている実態を紹介する。
大泉さやか(ムオン)昭和女子大学
国家の言語政策において、正書法は必要ないと長らく言われてきたムオン語について、2016年にホアビン省が正書法を認定した背景、その使用方法の現在を、無形文化遺産の保護制度との関わり、ムオン語話者の減少の2点から考察する。
グエン・ティ・レNguyễn Thị Lê(モンMông)ベトナム社会科学翰林院・人間研究所
The Hmong ethnic group is 6th largest ethnic minority in Vietnam and is known as one of the ethnic groups still preserve their traditions including their language. Interestingly, while the Hmong ancient scripts have not been found, there are many different sets of scripts that were created and used by different actors. In Vietnam, there are two Hmong script systems are operated, the first is the “Vietnam Hmong language” and the second is “The International Hmong language. This paper aims to discover how these two kinds of Hmong scripts are operated and utilized in the formal sector (media, education...) and informal everyday life among the Hmong in the North.
中村理恵(チャム・ムスリム)東洋大学
国家主導による少数民族の言語保存の政策が、それほど効果をあげていないのに対し、ムスリムのチャム自身が組織化して実践しているイスラームを基盤とした教育や日々の生活が、彼らの言語を保持することにつながっていることを考察する。
吉本康子(チャム・中西部)京都大学
中南部のチャムの居住地における言語使用の実態について、チャム社会内部で継承されてきた従来の文字教育、政府主導の言語政策の一環としての言語教育、住民主体の学びのあり方の3点を通して検討する。
下條尚志(クメール)神戸大学
ベトナムの「少数民族語」としてのクメール語について、その使用状況や言語政策を①二つの国民国家の経験、②カンボジア上座部仏教とのつながり、③国境を越えた社会経済関係の変遷という観点から検討する。
伊藤正子(華人)
北部では華人に対する締め付けは今も強力で、機能停止したままの会館での華語教育復活はありえないが、メコンデルタでは1970年代末に海外に逃れた華人からの援助で立派な学校が建てられ(維持され)、充実した華語教育が行われている。この南部の状況を紹介する。
◎お申し込み
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdMKoPI_9plu1v_euW9EHpPw0y9slVNlSfE8fXiaDBnXpWr_Q/viewform
※会場準備がありますので、対面の方もお申込みをお願いいたします。
Zoomリンクは前日中にご連絡いたします。前日中に届かなかった場合は、ご連絡ください。
なお本研究会は、基盤研究(B)23K25076「ベトナムの少数民族言語政策の歴史と言語使用の実態」(代表:伊藤正子)の報告会を兼ねております。
みなさまのご参加をお待ちしております。どうぞよろしくお願いいたします。
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科
伊藤正子
masakoi0@gmail.com